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きょうは何の日

石油危機下の11月9日

2010/11/09

第一次石油危機が発生したのは1973(昭和48)年。この年に生まれた赤ん坊も今年37歳。会社なら立派な中堅社員である。筆者も同年代だが、石油危機については教科書的な知識だけで、「トイレットペーパー騒動が…」などと言われても正直まるで実感がわかない。電力業界がいかに石油危機に立ち向かったかも、じつはよく知らない。
 現在電力会社で職場の中核になっておられる中堅社員のみなさんの中にも、筆者と同じような方がいるのではないだろうか。そこで今回は、第1次石油危機の頃を振り返ってみたい。

 1973年の今日、11月9日には何があったか。
 当時の電気新聞を見てみると、「9電力緊急社長会議開く/10%節電運動を展開」とある。1面トップの記事だ。
 この節電運動はもちろん石油危機に対処するためのもので、これに先立つ5日、東京電力がスタートさせた。6日には関西電力が続き、さらにこの日の緊急社長会議で全電力会社に広がった。この節電運動はこの後さらに、政府による石油・電力10%節減の緊急対策につながっていくことになる。

節電運動の具体的な内容をみてみよう。記事にはこうある。
「産業用大口電力および業務用電力については、各社個別に需要家と交渉し、理解と協力を強く求める」
「一般家庭用についても『明りをひんぱんに消す』『電気ストーブやコタツをあまり使用しないで--』と訴えることにしており、新聞広告などを使って全国的なPRに乗り出す」

口で言うのは簡単だが、需要家との実際の交渉はいろいろと大変だったようだ。
 年が明けて1974(昭和49)年1月1日付の電気新聞には、「電力コンサルタントのある一日」と題した特集記事が掲載されている。

 この記事は、「未曾有の難局にさしかかった電力業界の苦悩」を浮き彫りにしたルポ。石油危機下では正月といえども浮かれてはいられないのだ。

取材の舞台は東京電力千葉支店のサービスエリア。エリア内には京葉工業地帯がある。記事は、京葉工業地帯の需要家を回る東電社員、高橋昭二さんを追いかけていく。

高橋さんら電力社員は、「自社で売っている電気を“使わないでほしい”と頼みに回る」ことに戸惑いを感じつつも、目標達成に向け「考える余裕もない」状態で走り回る。

高橋さんは記者とともに訪れた工場で10%節電をお願いするが、工場側は「柔軟にやってもらいたい」と一律の節電には難色を示す。当時は今と違って「つくれば売れる」時代。節電に協力したいのは山々だが、生産が落ちるのは避けたい--というのが工場側の本音だったようだ。両者の間にはミゾがある。

しかし、記事の終盤、高橋さんはこんな風に漏らす。
「でもどこの工場も節電には協力的だし、よくやってくれますよ。この前なんか、暖房の入っていない部屋で、夕方になってもけい光灯をつけないで、節電の打ち合わせをしました。日増しに強まるエネルギー危機に皆さん真剣なんですよ。やっぱり…」
 思わずしんみりとしてしまう。

記事のしめくくりには、
「(工場だけでなく)節電や節約は一人ひとりが行うもの」
「限られた『資源』を有効に活用し、また後世に模範を残すことは必要」
「各企業の実態を把握した広範なPR活動をすすめていくべき」
 といった文言が並ぶ。この部分だけ抜き出して見せられたら、現代の地球温暖化問題について語っていると勘違いしてもおかしくない。時代は変われど、人間はじつはいつも同じようなことを繰り返しているのかもしれない。 (佐藤 輝)

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