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全国理系学び舎紀行

東京都市大学工学部原子力安全工学科(東京都)

2014/07/15

溶融燃料取り出し装置による圧力容器底部のデブリ回収のイメージ図。日立化成との共同研究

溶融燃料取り出し装置による圧力容器底部のデブリ回収のイメージ図。日立化成との共同研究

◆“持続可能な利用”見据え◆ 国の新しいエネルギー基本計画で、原子力発電は「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けられた。将来にわたり、原子力技術を発展させるためには、研究開発が鍵を握る。東京都市大学工学部原子力安全工学科は「持続可能な原子力利用の次世代の英知を創造する」ことを理念に掲げている。この理念に基づき、次世代炉の研究や東京電力福島第一原子力発電所の溶融燃料(デブリ)取り出しに貢献する研究などに取り組む高木直行教授の研究室を訪ねた。

 ◆次世代炉設計も多彩◆ 原子力安全工学科が置かれている世田谷キャンパス(東京都世田谷区)。閑静な住宅街に囲まれ、東京23区内の私立理工学部系キャンパスでは最も面積が広い。研究や勉学に最適な環境のもとで、高木研究室が中心的に取り組んでいるのは、将来を見据えた新型原子炉の設計だ。具体的には、軽水炉の後継と期待される革新的原子炉として、高速増殖炉(FBR)をはじめ、進行波炉(CANDLE炉)、水冷却トリウム増殖炉、固有安全高温ガス炉の炉心設計をテーマにしている。

このうち第4世代炉の一つのFBRに分類されるCANDLE炉は、ろうそくのように燃焼領域が自律的に下方向へ移動する原子炉。炉心下部に配置された天然ウラン領域では、炉心から拡散・漏えいしてくる中性子で徐々にプルトニウムが生成され、その後、十分な反応度を持つ燃料となってエネルギーを生産する。適切な炉心構成を行うことにより、これが自律的、連続的に進行するため、出力領域が移動するという。

 東京都市大学工学部原子力安全工学科紙面イメージ

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現在考えられている高速炉サイクルは、再処理によって燃料と核分裂生成物(FP)を化学的に分離するという概念。これに対し、CANDLE炉では燃料領域が自律的に移動することで空間的・物理的に燃料とFPを引き離すというもの。高木教授は「濃縮・再処理といったサイクルの負担を軽減しながら、資源を最大限活用できる」とメリットを強調する。現在、日本では東京都市大がCANDLE炉研究をリードしている。あのビル・ゲイツ氏が注目し、私財を投じて研究をバックアップしているのも同型の原子炉だ。

デブリ回収 原子力技術の発展に結びつく革新的原子炉の設計を推進する一方、高木研究室では現在差し迫った問題として、炉心溶融事故を起こした福島第一原子力発電所を支援するための研究にも力を注いでいる。デブリ回収に関連した研究がその一つで、再臨界させずに安全に配慮した取り出し方法の実現に向けて、日立GEニュークリア・エナジー、日立化成と共同研究を実施している。臨界発生の可能性を計算によって導き出し、回収の際に必要な中性子吸収材の分量などを決めていく。「福島第一の廃炉は日本が抱える大きな課題でもあり、学生も一生懸命取り組んでいる」(高木教授)という。

核変換処理  また、汚染水処理に関しても、福島第一に設置されている多核種除去装置「ALPS」のフィルターに吸着したヨウ素129(半減期1600万年)を燃料集合体の一部に加工し、軽水炉で核変換処理する研究を展開している。研究室ではもともと核のごみを減らす核変換技術も専門としており、これまで蓄積したノウハウが生かされる。

高木教授は「これにより、ヨウ素129が半減するスピードは約100万倍加速され、速やかに減らすことが可能。決して新しい研究テーマではないが、実際に役に立つことが大切。研究を続けていれば、部分的にでも事故収束に貢献できるチャンスが生まれるのでは」とし、実現可能性を念頭に研究を進め、提案していきたい考えだ。

高木教授は08年3月に東電を退社し、企業では果たせなかった研究テーマに取り組むため、東海大学工学部の准教授に転じた。12年4月から東京都市大の教授に就任、民間出身ならではのセンスと、大学における自由な発想を融合し、日々研究に携わっている。元東電だけに福島復興への思いは強く、「廃炉技術の教育・研究はさらに充実していきたい」と話している。

東京都市大学

 

◆大学概要◆
 08年に開設された原子力安全工学科は、原子力利用の安全を通し、広く社会に貢献できる専門技術者・熟練技能者を社会に輩出することに努める。学生は3年次に原子力工学、放射線工学、原子力リスク・耐震工学の3コースの中から、卒業後の進路を考慮して選択。就職先は電力会社、プラントメーカー、研究機関、官公庁、自治体など多方面にわたる。

 ◇高木直行教授の話◇
 安全・安心で長く使えるエネルギー源としての原子力の研究に取り組んでいる。安全の面では、経済性はいったん脇に置き、安全性のみを徹底的に追求する研究も進めていきたい。一方、安心の面では長寿命の放射性廃棄物を根本からなくし、現世のつけを後世に残さない技術に挑戦していく。原子力が千年、万年単位で利用されるように、安全・安心を突き詰めていきたい。

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